目次
Tシャツやトレーナーの2本針補強
Tシャツやトレーナーの衿ぐりや袖ぐりなどに2本針のステッチがしてある商品をよく見かけます。
デザイン的にはゴツゴツっとした感じになり、男っぽいイメージで好きな方も多いでしょう。
デザイン的に好きで、2本針の補強がしてある商品を選ばれることには、全く反対いたしません。
ただ、問題なのは、縫製を知らないショップさんが、2本針で縫ってある商品は強い(強度が高い)と思っていらっしゃる方が結構多いことです。
ホームページなどでもそのことを書いているページを見かけます。
2本針で1工程多く縫ってあるわけですから、強度が増すと思うのは普通の感覚なのですが、2本針でステッチしてある内側の縫い目は2本針オーバーロックではなく1本針オーバーロックで縫ってありますので、2本針オーバーロックに比べるとかなり弱いのです。
そして、2本針の補強ステッチは単なる飾りでしかありません。
2本針オーバーロック 1本針オーバーロック
2本針オーバーロック+1本針本縫いステッチ
表側 裏側
1本針オーバーロック+2本針補強
表側 裏側
縫製直後の状態です。洗濯をして行くとどのように変化するか、レポートいたします。
20回洗濯後
2本針オーバーロック+1本針本縫いステッチ
特に縫い目のほつれはみられません。生地自体はくたびれてきますが、縫い目の強度は保っています。
1本針オーバーロック+2本針補強
わずかですが、2本針の縫い目がほつれています。この縫い目の特徴は、最後の1針がほつれると、連鎖的に次々と簡単に縫い目がほどけてしまうことです。
今の状態であれば、強度は維持していますが、人間というのは不思議なもので、このように糸が出てくると、引っ張ってみたくなるものです。
これの引っ張りどころが悪いと、補強の縫い目は全部無くなってしまい、1本針オーバーロックの縫い目だけ残ってしまうと、縫い目の強度は一気に落ちてしまいます。
二本針補強がほつれた状態
二本針は一旦ほつれ出すと連鎖します
二本針補強がほつれた状態(表側)
一旦ほつれ出すと、パラパラと一気に気持ちよくほどけてしまいます。
こうなると、ベースの縫い目が一本針オーバーロックなので、弱い縫い目になってしまいます。
二本針補強の縫い終わりをしっかり、ほつれ止めしてある商品もあります。
ほつれ止めしてあれば、こういう問題はありませんので、Tシャツなどを買う際は確認しましょう。