
某有名アパレルハイブランドのお直しを50年一筋でやっている縫製工場です。
高度な技術力で洋服やハイブランドのスーツのお直しはもちろんの事、近年ではウェデングドレスやステージ衣装などのOEMも承っております。
3代目若社長が経営する縫製工場は熟練技術者から若手技術者へ技術の継承ができており、
安心して長くお取引きをする事ができます。
毎日、都内を自社の車で回収や納品で回っておりますので品物量や地域によっては集荷依頼、ご対応可能です。
是非一度、お問い合わせいただき、工場見学にもいらしてください。
服の品質を見分けるには衿が傾むいているかどうかを見るのが一番です 。縫製するときに下が送り歯、上が押さえなので、下の生地を送り、上の生地を押すように縫うので、その時にミシンが押すのをそのままにしていると片方の衿先が下に巻き込んで、もう片方の衿先が上に跳ね上がります。何もせずに縫うとだいたいこんな傾向になるものなのですが・・・・・・。この動画のようにならないように縫うのが工場の技術です。衿が傾くのは、ミシンの構造上なってしまう現象をそのまま作ってしまうからです。技術が高ければ、そのようなミシンの構造上なってしまうことに逆らって、左右対称の衿に仕上げることができるのです。時には、押さえの抵抗を減らすためにテフロンを貼り付けたり、送り歯の手前にサンドペーパーを貼って、下の生地が送られ過ぎないようにしたりもします。
縫製される衣料品はプレス加工のように上から型抜きするように加工するのとは違い、かならず、右から左、あるいは左から右へと縫製されます。裁断も同様に生地を重ねて、右から左、あるいは左から右へと裁断されます。多くの生地を重ねることで、上と下の裁断ズレも起こります。また、先に述べたように縫製でも、ミシンの構造上、下の生地が送られ、上の生地が押されるので、必ずズレが生じます。このようなズレが大きい程、縫製の技術が低いと考えることができます。服の品質を見分ける際には、その服が左右対称になっているかを確認して、左右のズレが大きい商品の購入は避けるようにしましょう。
左右のズレがあると言う事は、設計とは違う商品になっていると言う事です。設計がどれだけ良くても、設計に忠実に作られていない商品は良い商品とは言えません。
材料品質も設計品質も良かったとしても、製造品質が悪ければ商品は台無しになります。最高級の食材と最高のレシピがあっても料理人が素人であれば、食材の良さを引き出すような料理にはなりません。材料品質が良く、設計も良くても、施工する大工が下手だと家が傾くかも知れません。材料や設計がどけだけ良くても、作り手が悪いと全てを台無しにしてしまうのです。
アクリルの板に溝を彫って、それに沿って縫製することもあります。そういう方法だと表衿と裏衿の合わせ縫いは傾きません。それでも、ステッチが下手だと傾くことがありますが傾きは僅かに抑えることが出来ます。
Tシャツやトレーナーの衿ぐりや袖ぐりなどに2本針のステッチがしてある商品をよく見かけます。
デザイン的にはゴツゴツっとした感じになり、男っぽいイメージで好きな方も多いでしょう。
デザイン的に好きで、2本針の補強がしてある商品を選ばれることには、全く反対いたしません。
ただ、問題なのは、縫製を知らないショップさんが、2本針で縫ってある商品は強い(強度が高い)と思っていらっしゃる方が結構多いことです。
ホームページなどでもそのことを書いているページを見かけます。
2本針で1工程多く縫ってあるわけですから、強度が増すと思うのは普通の感覚なのですが、2本針でステッチしてある内側の縫い目は2本針オーバーロックではなく1本針オーバーロックで縫ってありますので、2本針オーバーロックに比べるとかなり弱いのです。
そして、2本針の補強ステッチは単なる飾りでしかありません。
2本針オーバーロック 1本針オーバーロック
表側 裏側
表側 裏側
縫製直後の状態です。洗濯をして行くとどのように変化するか、レポートいたします。
特に縫い目のほつれはみられません。生地自体はくたびれてきますが、縫い目の強度は保っています。
わずかですが、2本針の縫い目がほつれています。この縫い目の特徴は、最後の1針がほつれると、連鎖的に次々と簡単に縫い目がほどけてしまうことです。
今の状態であれば、強度は維持していますが、人間というのは不思議なもので、このように糸が出てくると、引っ張ってみたくなるものです。
これの引っ張りどころが悪いと、補強の縫い目は全部無くなってしまい、1本針オーバーロックの縫い目だけ残ってしまうと、縫い目の強度は一気に落ちてしまいます。
一旦ほつれ出すと、パラパラと一気に気持ちよくほどけてしまいます。
こうなると、ベースの縫い目が一本針オーバーロックなので、弱い縫い目になってしまいます。
二本針補強の縫い終わりをしっかり、ほつれ止めしてある商品もあります。
ほつれ止めしてあれば、こういう問題はありませんので、Tシャツなどを買う際は確認しましょう。
白の背景に豹柄を重ねているので、生地にとっては厳しい条件です。
一般には地肌の上に下着を着用しますので、背景は肌色になりますので、仮に豹柄の下着を着用しても、これほど豹柄の生地が強調された感じにはなりません。
30は糸の太さ、数字が小さい程太い糸で、1は1本で作った生地と言うことです。サンマルタンテンジクと読みます。
Tシャツにはよく使われている生地です。この程度の生地だと柄まで透けて見えてしまいます。
40は糸の太さ、数字が小さい程太い糸で、2は2本の糸を撚り合わせて作った生地と言うことです。ヨンマルソーテンジクと読みます。
30/1天竺と実際に手に取ると40/2天竺の方が確実に厚みがあります。
40番手のコーマ糸を使った生地です。
40/2天竺よりもさらに厚みがあり、目も詰まっているのでかなり優秀!
吸汗即乾の生地です。
16番のかなり太い糸を2本撚り合わせて作った生地です。
ヘビーウエイトの生地です。ただし生地のカラーはキナリです。
トレーナーやTシャツなどの丸首の商品は洗濯すると衿の部分が伸びてしまってだらしなくなってしまうものが多くあります、たいていの人は生地が悪いからだと思っていますが、じつは縫製の問題もたくさんあるのです。
ただし、衿自体に編みこんである細いゴム(ポリウレタン)が劣化して切れたりして伸びるのは避けられません
このページではこんな縫製工場だからわかる、品質や良いTシャツの見分け方などお知らせします。
Tシャツやトレーナーの衿は、「フライス」を使う場合と「テレコ」を使う場合があります。
フライスはフライス編みと言って、編み方で伸縮性を確保しています。
テレコは生地の中にポリウレタンを少し編み込んであり、このポリウレタンにより伸縮性を確保しています。
衿の生地自体の劣化によって衿が伸びることも多くあります。
例えばポリウレタンの劣化であったり、編み目の移動などです。
トレーナーやTシャツは身頃側の衿ぐりより衿のほうが小さく作られています。 これを縫製するときにどうするかによって、洗濯後に差が出るのです。
身頃の衿ぐりより衿の方が小さいのだから小さい方の衿を伸ばして縫う。 この方法だと縫製技術があまり高くない人が縫っても衿を付けることができます。 でも縫い上がった状態では縫い目が波打っています。 これをアイロンでうまくごまかして出荷するのです(アイロンがけはかなり大変)。 このような商品は最初から伸ばして縫っているので、どんなに高級な生地を使っても洗濯すると衿が伸びてしまうのです。
身頃の衿ぐりより衿の方が小さいので小さい衿を伸ばさず、衿に合わせて身頃側を少しギャザーを入れるような感じでいせ込むように縫う。 この方法は縫う人の高い技術を必要とします。縫い上がった状態では衿がすっきりと付いており身頃側に少しシワがあるように見えます。 この商品は軽く形を整える程度のアイロンがけで出荷します。 このように縫製された商品は生地の品質が悪くてもかなり衿の形を維持します。 また良い生地を使った商品ではほとんど衿が伸びないのです。
いせ込みながら縫う技術がないと良い商品にはならないのです。
Tシャツをデザイン・製作する際に、最も気になるポイントの一つが「衿(襟)の伸びやすさ」ではないでしょうか。特に、洗濯後に衿が伸びてしまい、型崩れが起こると、お客様の満足度に大きな影響を与える可能性があります。
この記事では、Tシャツの衿の生地選びにおいて、洗濯後の伸びに強いものと、避けるべきものについて詳しく解説します。これからアパレルブランドを立ち上げる方や、商品品質にこだわりたい方のために、最適な生地の選び方をご紹介します。
Tシャツの衿が洗濯後に伸びてしまうのは、購入者にとっても製造者にとっても避けたい問題です。これを防ぐためには、なぜ伸びるのかを理解することが重要です。主な原因として、以下の要素が挙げられます。
生地の素材によって、衿の伸びやすさは大きく異なります。例えば、コットン100%の素材は肌触りが良いですが、洗濯や着脱の際に引っ張られることで、特に衿部分が伸びやすい傾向にあります。また、スパンデックスや他の合成繊維が少ない場合も、伸縮性に欠けるため、洗濯によって生地が伸び切ってしまうことがあります。逆に、ポリエステルやナイロンが含まれる混紡素材は伸びにくい特性がありますが、その代わりに風合いや快適さが犠牲になることもあります。
衿の伸びには、素材だけでなく編み方も大きく影響します。たとえば、フライス編みのような目が詰まっていない編み方だと、洗濯の際に生地が緩んで衿が伸びやすくなります。目が詰まった生地の方が、形を保ちやすく、洗濯による伸びを防ぐことができます。
洗濯機の使用方法も衿の伸びに影響します。強い回転や高温の乾燥は、生地に過剰な負担をかけ、特に衿のような薄い部分が伸びやすくなります。洗濯ネットを使用したり、手洗いや自然乾燥を行うことで、伸びを防ぐことができます。
洗濯後にTシャツをハンガーにかけて乾燥させると、重力で生地が引き伸ばされることがあります。特に、濡れた状態では繊維が柔らかくなっているため、衿部分が重さで伸びてしまうことがあります。また、着脱時に無理に引っ張ることも衿の伸びにつながります。丁寧に扱うことが、長持ちの秘訣です。
衿が洗濯後に伸びてしまうリスクを減らすためには、適切な素材を選ぶことが重要です。ここでは、主要な素材別に衿の耐久性と洗濯後の伸びに関する特性を比較してみましょう。
コットンは柔らかく、肌触りが良いため、Tシャツの素材として広く使われています。しかし、コットン100%の場合、伸縮性に乏しいため、繰り返しの洗濯や着脱によって衿が伸びやすいという欠点があります。ただし、コットンの編み方によっては伸びにくくすることが可能です。たとえば、目が詰まった編み方を採用すれば、衿の形をより長く保てます。
ポリエステルは伸びにくく、耐久性に優れているため、Tシャツの衿部分に適した素材です。また、洗濯や乾燥機に強いことから、長期間にわたって形状を保つことが期待できます。しかし、ポリエステルはコットンに比べて肌触りが劣るため、快適さを求めるユーザーには注意が必要です。
スパンデックスは非常に高い伸縮性を持ち、他の素材と混紡されることが多いです。この素材が入ることで、生地の柔軟性が向上し、伸びにくい特性を持たせることができます。ただし、スパンデックスが多すぎると、逆に形崩れが起こりやすくなるため、バランスの取れた配合が重要です。
ウールは柔らかく、暖かさを保つ素材ですが、Tシャツの衿としてはあまり使われません。ウールは繊細で、洗濯や乾燥に気を使わなければいけないため、伸びやすいこともあります。
これらの素材の特性を理解しておくことで、製品開発の際にどの素材を選ぶべきかを正しく判断することができ、洗濯後の衿の伸びや型崩れを防ぐ一助となるでしょう。
フライス編みのTシャツの衿は、その特徴である伸縮性と耐久性が重要なポイントとなります。フライス編みとは、ゴム編みの一種で、横方向に伸縮しやすい構造を持つため、Tシャツの衿に適していると言われています。編み目が詰まっているフライス編みは、洗濯後の型崩れを防ぎ、長期間美しい形を保つための最適な選択肢です。
特に衿部分は、Tシャツの中で最も使用頻度が高く、洗濯や着脱による摩耗を受けやすいため、耐久性の高い生地選びが大切です。フライス編みを採用することで、伸縮性に優れたフィット感を提供しながらも、長持ちするTシャツの作成が可能です。
Tシャツの衿の生地には、高い部分と低い部分があり、この間隔が詰まっているものを選ぶのがポイントです。編み目がしっかりと詰まっている衿は、洗濯後に伸びにくく、長期間の使用にも耐える特性を持っています。手で触った時に柔らかい風合いの衿は、洗濯を繰り返しても型崩れしにくく、伸びることで着脱もスムーズです。
柔らかい風合いの生地は、首周りへの負担も軽減し、快適な着心地を提供します。特に、肌に優しい素材を使うことで、顧客の満足度も向上します。適度な柔らかさを持つ衿は、伸縮性と耐久性のバランスが取れており、長期にわたって美しいシルエットを保つことができます。
最初の画像よりも編み目が少し開いているのが分かりますか?編み目が多少開いている場合でも、生地が柔らかいものであれば、伸縮性があるため、Tシャツの衿としてはまだ良い選択肢です。理想的なのは、編み目がしっかり詰まっているものですが、多少の隙間があっても、柔らかさがあれば伸びやすく、洗濯後の型崩れも少なく済みます。
編み目が少し開いていると、デザインによっては軽やかな印象を与えたり、カジュアルな雰囲気を演出することができます。ただし、衿の生地が柔らかくない場合は注意が必要です。柔らかさがないと伸縮性が失われやすく、結果として着用時や洗濯後に生地が元に戻らないこともあります。柔らかさと編み目のバランスを見極めることが大切です。
一方、編み目が大きく開いていて、しかも生地が硬い衿は避けた方が無難です。このタイプの衿は、伸縮性が乏しく、手で触った時の感触が硬い場合が多いため、着用時や洗濯後に生地が伸び切ってしまう可能性があります。編み目が緩く、柔軟性が少ないため、動きやすく型崩れも起こりやすいです。
また、衿が硬い場合、着脱時に不快感を与える可能性があり、結果的にTシャツ全体の品質感に影響を与えてしまうこともあります。このような生地の選定は、長期的な顧客満足度に関わる重要なポイントですので、注意が必要です。
ブランドの評価において、Tシャツの衿の生地選びは大きな影響を与えます。衿はTシャツの中でも最も負担がかかりやすい部分であり、着用や洗濯を繰り返す中で伸びやすくなることが多いです。この部分の品質が低いと、せっかくデザインや縫製が優れていても、着心地や見た目が損なわれ、ブランド全体の信頼性が低下してしまいます。以下、衿の生地選びがブランド評価にどのように影響するかを詳しく解説します。
Tシャツを購入したお客様は、何度も着用し、洗濯を繰り返します。その際に衿が伸びてしまうと、すぐにだらしなく見えてしまい、着用頻度が低くなることもあります。特に、高級感やプレミアム感を打ち出しているブランドの場合、少しの品質の低下が大きなマイナス評価につながります。伸びにくく耐久性のある生地を選ぶことで、顧客満足度が高まり、ブランドのリピート率や口コミによる評価も向上します。
衿に使用する生地は、製品全体の品質を象徴する重要なパーツです。たとえば、コットンとスパンデックスの混紡や、ポリエステルとコットンの混紡など、伸縮性と耐久性を兼ね備えた素材を選ぶことで、Tシャツの寿命が長くなります。顧客は、そのTシャツが長く使用できることを実感すると、ブランドへの信頼感が増し、結果的にブランドの評価を高める要因になります。初期コストが少し高くなるとしても、品質に投資することで長期的なリターンが期待できるのです。
ブランドごとに異なるコンセプトやターゲット層に合わせた生地の選び方が必要です。例えば、エコやサステナビリティを重視するブランドであれば、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルといった環境に配慮した素材を選ぶことがおすすめです。このような素材選びは、ブランドのストーリーとリンクし、顧客との共感を生むことで、ブランドのファンを育てることにつながります。
衿の生地選びは、他のブランドとの差別化要因にもなります。たとえば、他社製品よりも耐久性が高く、形状が維持されやすい生地を使用すれば、顧客にとって「このブランドのTシャツは衿が伸びにくい」という明確な評価ポイントになります。特に高価格帯の商品であれば、細部へのこだわりが顧客の購買動機に直結するため、素材選定の段階での慎重な判断が求められます。
衿の品質が良ければ、顧客は繰り返しそのブランドの商品を購入する可能性が高くなります。これは単なる満足度の向上だけでなく、顧客がそのブランドを他人に推薦する大きな要因にもなります。Tシャツの衿の耐久性が高いことが、長く使える服を求める顧客にとって大きな魅力となり、その結果、ブランドのロイヤリティを高めることができます。
このように、Tシャツの衿の生地選びは単なる素材の選定にとどまらず、ブランドの信頼性、顧客満足度、そしてブランドの価値そのものに大きく影響を与えます。特に服のブランド立ち上げを目指す方にとっては、細部にこだわった生地選びがブランドの成功を左右する重要な要素となるでしょう。
Tシャツの衿は、デザインの見た目だけでなく、着用感や耐久性にも大きな影響を与えます。特に洗濯後に伸びてしまうと、商品の価値が損なわれる可能性が高いです。フライス編みのように、目が詰まっていて柔らかい生地は、伸縮性があり長持ちしますが、逆に編み目が開いていて硬い生地は型崩れのリスクが高くなります。
お客様に満足していただける商品を提供するためにも、しっかりとした衿の生地選びを行いましょう。品質の高いTシャツは、リピーター獲得の鍵になります。
良いTシャツの例 悪いTシャツの例
店頭やHPでよく見かける悪い無地Tシャの例。 生地の品質にはこだわっているのかもしれませんが、作ることにはこだわっていない。 丁度、最高級食材を使って、ド素人がつくる料理のように私は感じます。 私は、設計品質、材料品質、製造品質のバランスがとれてはじめて良い商品と言えると思うのです。
伸び止めテープや二本針で補強してあるとか、書かれていますが・・・・・・・・。 品質には、設計品質と製造品質があります。 設計段階で衿の大きさと衿ぐりの大きさのバランスや、どのようにして強度を出すかなどを決めます(設計品質) 設計者(デザイナーやパタンナー)の設計通りの商品を製造段階で実現するのが製造品質です。 設計はだいたい一流のデザイナーやパタンナーを使うし、Tシャツやトレーナーのパターンはだいたい決まっているので、設計品質の差はそんなに大きくはありません。しかし製造品質に差があるのでかなり悪いものも出まわっています。 製造品質が悪いと言うことは、設計と違うものが出来あがると言うことです。それでは、どれだけ一流のデザイナーやパタンナーを使っても設計者の意図とは全然違う商品が売られていると言うことなのです。 自宅を建てるときでも、設計を重視するのは当たり前ですが、だからと言って大工さんはいいかげんな人でも良いと言う人はいないでしょう。 設計通りに出来ていない家には住めません。
この衿は自社でわざと変に作成してみたものです。
この線の右側と左側では衿の形状が全然違います。良く見れば変だと思いません?このような左右対称になっていない無地Tシャツはおすすめしません。
もう一つの具体例
この衿はどうでしょうか?
これはいろんなところがおかしいのですが・・・・・。
ピンクで隠した部分がなければ衿はきれいな円になっています。
衿の中心は、この赤い線のあたりだと思います。だとすると、ネームの位置がズレていますし、左右の衿のカーブがかなり違うのがお分かりになりますか?
こうすれば、分かりやすいですか?店頭で、調べる時には、通常、前、後ろに別れるようにアイロンがけしてあるのを、肩の線を合わせて、左右に分かれるようにテーブルなどに置いて見ると、左右対称になっていない商品を見つけることができます。
家の場合は設計事務所と木などの材料と大工さんの腕ですよね。
縫製の場合はパタンナー(設計)と生地(材料)と縫製(作る技術)です。最近では設計段階から悪いものは滅多に見かけなくなりました。生地の良し悪しは手でさわった感じなどてだいたいおわかりかと思います。縫製の良し悪しを判断できればそんなに悪いものを買わされることはなくなりますね。
Tシャツやトレーナーを作る工程としては肩合わせ→衿付け→袖付け→脇合わせ、あと袖口と裾を縫えば出来あがりです。工程としての難易度の高い工程は衿付けとあとは袖口伏せや裾引きでしょうか。
商品の顔は衿なのでその工場で一番技術のある人が衿を付けます(通常は)。衿は商品の一番重要な部分なので、最も綺麗に縫製出来る人を配置するのです。衿付けに優秀な人材を配置していないとすれば、工場の管理者が無能なので、もっと悪いですが・・・。その衿がこんな状態だと他の部分を作っている人の技術はどうなんだろうと他人事ながら心配になります。実際ブランドネームも変なところに付いていますね。衿がきれいな形になっていないトレーナーやTシャツは絶対に良い商品ではありませのでおすすめ出来ません。衿が左右対称に縫えない工場は他の工程の技術も推して知るべしです。
ほとんどのショップさんがグラフィックに重点をおいていて、Tシャツそのものにはあまり意識が向いていないショップさんも見受けられます。
また、無地Tシャツを販売されているショップさんなどでも、商品に対するこだわりはあると思います。
素材の質感であったり、シルエットだったり。それが着心地につながったりするのだと思いますが、何度も書いている、設計品質と材料品質と製造品質が高い次元で融合しないと、素材の良さを最大限に引き出した商品にはならないと言うことを理解していただきたいと思います。プリントなどがあるグラフィックTシャツの場合は、周囲の人たちの目は最初にグラフィックに行きますので衿の傾きなどはあまり目立ちませんが、無地Tシャツの場合は最初に衿元に目が行きます。無地Tシャツの場合は特に衿が左右対称ではないものはおすすめしません。
高級食材を使った素人料理人のお店へお金を払ってまで食べに行きますか?
服を買うときには、脇や袖のミシンの縫い目にも気をつけましょう。縫い目で見分ける服の品質をお伝えします。
値段が高いから良いTシャツで安いから悪いTシャツだとは言えません。
安くてもしっかりした作りになっているTシャツもありますので、Tシャツを見る目を養いましょう。
お見せする写真は、わかりやすいように糸の色を一本一本変えています。
このミシンの縫い目はオーバーロックミシンで、縫い目の締り具合のことを糸調子と言います。
普通はこのような縫い目になっています。(脇や袖の部分)
二本針オーバーロックというミシンで縫います
同じ縫い目を裏から見た状態です。
縫い目の中ほどと下側に赤と緑の糸が点々と見えています。針糸が締まった状態です。
表側になる部分から見た状態です。
普通ですね。縫い合わせた部分が開きません。
表側から見た状態です。ちょっとわかりづらいですが、緑の糸が浮き上がっているのがわかりますか?
良い縫い目に比べると、赤と緑の糸がループになっていますね。針糸が緩んでいる状態です。
赤と緑の点々は針糸なので、点々が大きく見えるのは、糸が緩いからなのです。表側から見ると糸が見えるほど緩い状態で、縫い合わせた部分が締まっていません。
先ほどご説明した二本針オーバーロックではなく、一本針オーバーロックの縫い目です。先に説明した縫い目のものより針糸が一本少ないものです。この縫い目で脇を縫ってあるTシャツは、品質よりもコストを優先した商品です。僅か糸1本分のコストさえも抑えたい程コストが厳しい商品と考えるのが適当です。
上の一本針と同じ縫い目ですが、縫い目が上のものよりも粗いものです。中国製のTシャツなどでたまに見かけます。
このような縫い目の商品は絶対に避けたほうが良いですよ。
Tシャツの脇などを一本針で縫うのは、そもそも糸のコストさえも抑えたいからで、その上、縫い目が粗いと言う事は、少しでも早く縫いたいからなのです。ミシンの最高回転数がミシンによって決まっていますので、少しでも早く縫って、一日にたくさん作りたいとなると、縫い目を粗くすると、生地を送って行くスピードが上がりますので、早く縫えるわけです。
ここまでしてコストを下げたいTシャツが良い商品のわけがありません。是非ご注意ください。
また、二本針で縫ってあっても、針糸が締まっていない服は、縫製工場の品質管理が出来ていないと言う事です。糸調子の調整は、工場の品質管理の基本です。糸調子は作業を始める前の朝一番に確認しますし、糸を替えた時にも確認するものです。この基本が出来ていない工場で作る商品は絶対に良い品質の服ではありません。糸調子を見ることは、服を作っている縫製工場の品質管理の基本を見分けるポイントになります。
ブランド信奉もあると思いますが、同一ブランドでも同一工場で縫製しているわけではありません。ブランドとして、協力工場など特定の工場を使っている場合もありますが、商社を通して色んな縫製工場を使っているブランドもあります。商社を通して縫製工場に発注すると、どんな工場で生産するか分かりません。取引に当たっては、工場の現場も見に行きますが、見に行った工場の生産ラインでは無く、その工場からさらに下請けの縫製工場に流される場合もあります。その下請けの縫製工場が内職をたくさん使って服を作っているかも知れませんので、品質は全く予想出来なくなります。ブランドとしてしっかり品質管理がされていれば、倉庫に入荷した段階で、抜き取り検査を行って、糸調子不良があれば返品して修理されますが、ブランドとしての品質管理がしっかりと出来ていないと、糸調子不良の商品があっても抜き取り検査で見つからず、そのまま店頭に出てしまいいます。ブランドによって品質管理の基準も違うでしょうし、縫製工場から入荷した商品の抜き取り基準も違うので、品質管理基準の低いブランドは不良品が店頭に並ぶ可能性が高いことになります。ブランドを盲目的に信用することなく、自分自身の目で良い服を見分けるようにしてください。
服は、他の工業製品のように機械や金型によって品質を作り込む商品ではありません。品質は人の手によって作り込まれます、ですので、縫製工場で作業する人の技術に依存するところがとても多いのです。「衿が傾いている無地Tシャツはおすすめできません」や「衿で見分ける服の品質の見分け方」でも公開しているように、服はプレスして上から型抜きするような商品では無く、右から左、又は左から右へと縫います。そして、ミシンは下が送り歯で生地を送り、上は押さえで、生地を手前に押そうとするので、普通に縫うとねじれてしまいます。ですから、左右対称に作るのはとても技術が必要です。服の品質を見分けるには、縫い目と一緒に衿が左右対称になっているかどうかを確認しましょう。