2本針の補強縫いは本当に補強になっているのか?

Tシャツやトレーナーの2本針補強

Tシャツやトレーナーの衿ぐりや袖ぐりなどに2本針のステッチがしてある商品をよく見かけます。

デザイン的にはゴツゴツっとした感じになり、男っぽいイメージで好きな方も多いでしょう。
デザイン的に好きで、2本針の補強がしてある商品を選ばれることには、全く反対いたしません。

ただ、問題なのは、縫製を知らないショップさんが、2本針で縫ってある商品は強い(強度が高い)と思っていらっしゃる方が結構多いことです。
ホームページなどでもそのことを書いているページを見かけます。

2本針で1工程多く縫ってあるわけですから、強度が増すと思うのは普通の感覚なのですが、2本針でステッチしてある内側の縫い目は2本針オーバーロックではなく1本針オーバーロックで縫ってありますので、2本針オーバーロックに比べるとかなり弱いのです。

そして、2本針の補強ステッチは単なる飾りでしかありません。

2本針オーバーロック      1本針オーバーロック

2本針オーバーロック+1本針本縫いステッチ

表側                     裏側

1本針オーバーロック+2本針補強

表側                     裏側

縫製直後の状態です。洗濯をして行くとどのように変化するか、レポートいたします。

20回洗濯後

2本針オーバーロック+1本針本縫いステッチ

特に縫い目のほつれはみられません。生地自体はくたびれてきますが、縫い目の強度は保っています。

1本針オーバーロック+2本針補強

わずかですが、2本針の縫い目がほつれています。この縫い目の特徴は、最後の1針がほつれると、連鎖的に次々と簡単に縫い目がほどけてしまうことです。

今の状態であれば、強度は維持していますが、人間というのは不思議なもので、このように糸が出てくると、引っ張ってみたくなるものです。

これの引っ張りどころが悪いと、補強の縫い目は全部無くなってしまい、1本針オーバーロックの縫い目だけ残ってしまうと、縫い目の強度は一気に落ちてしまいます。

二本針補強がほつれた状態

二本針は一旦ほつれ出すと連鎖します

二本針補強がほつれた状態(表側)

一旦ほつれ出すと、パラパラと一気に気持ちよくほどけてしまいます。

こうなると、ベースの縫い目が一本針オーバーロックなので、弱い縫い目になってしまいます。

二本針補強の縫い終わりをしっかり、ほつれ止めしてある商品もあります。

ほつれ止めしてあれば、こういう問題はありませんので、Tシャツなどを買う際は確認しましょう。

Tシャツ生地の透け具合

白の背景に豹柄を重ねているので、生地にとっては厳しい条件です。

一般には地肌の上に下着を着用しますので、背景は肌色になりますので、仮に豹柄の下着を着用しても、これほど豹柄の生地が強調された感じにはなりません。

30/1天竺

30は糸の太さ、数字が小さい程太い糸で、1は1本で作った生地と言うことです。サンマルタンテンジクと読みます。

Tシャツにはよく使われている生地です。この程度の生地だと柄まで透けて見えてしまいます。

40/2天竺

40は糸の太さ、数字が小さい程太い糸で、2は2本の糸を撚り合わせて作った生地と言うことです。ヨンマルソーテンジクと読みます。

30/1天竺と実際に手に取ると40/2天竺の方が確実に厚みがあります。

40コーマスムース

40番手のコーマ糸を使った生地です。

40/2天竺よりもさらに厚みがあり、目も詰まっているのでかなり優秀!

吸汗速乾機能素材

吸汗即乾の生地です。

16/2天竺(ヘビー天竺)

16番のかなり太い糸を2本撚り合わせて作った生地です。

ヘビーウエイトの生地です。ただし生地のカラーはキナリです。

Tシャツの衿は洗濯すると伸びてしまう?

トレーナーやTシャツなどの丸首の商品は洗濯すると衿の部分が伸びてしまってだらしなくなってしまうものが多くあります、たいていの人は生地が悪いからだと思っていますが、じつは縫製の問題もたくさんあるのです。
ただし、衿自体に編みこんである細いゴム(ポリウレタン)が劣化して切れたりして伸びるのは避けられません
このページではこんな縫製工場だからわかる、品質や良いTシャツの見分け方などお知らせします。

衿とはどんな物?

Tシャツやトレーナーの衿は、「フライス」を使う場合と「テレコ」を使う場合があります。

フライスはフライス編みと言って、編み方で伸縮性を確保しています。

テレコは生地の中にポリウレタンを少し編み込んであり、このポリウレタンにより伸縮性を確保しています。

衿の生地自体の劣化によって衿が伸びることも多くあります。

例えばポリウレタンの劣化であったり、編み目の移動などです。

縫製の問題でTシャの衿が伸びるのは

トレーナーやTシャツは身頃側の衿ぐりより衿のほうが小さく作られています。 これを縫製するときにどうするかによって、洗濯後に差が出るのです。

悪い縫い方

身頃の衿ぐりより衿の方が小さいのだから小さい方の衿を伸ばして縫う。 この方法だと縫製技術があまり高くない人が縫っても衿を付けることができます。 でも縫い上がった状態では縫い目が波打っています。 これをアイロンでうまくごまかして出荷するのです(アイロンがけはかなり大変)。 このような商品は最初から伸ばして縫っているので、どんなに高級な生地を使っても洗濯すると衿が伸びてしまうのです。

良い縫い方

身頃の衿ぐりより衿の方が小さいので小さい衿を伸ばさず、衿に合わせて身頃側を少しギャザーを入れるような感じでいせ込むように縫う。 この方法は縫う人の高い技術を必要とします。縫い上がった状態では衿がすっきりと付いており身頃側に少しシワがあるように見えます。 この商品は軽く形を整える程度のアイロンがけで出荷します。 このように縫製された商品は生地の品質が悪くてもかなり衿の形を維持します。 また良い生地を使った商品ではほとんど衿が伸びないのです。

いせ込みながら縫う技術がないと良い商品にはならないのです。

Tシャツの衿(襟)の生地による洗濯後の伸びの違い

Tシャツをデザイン・製作する際に、最も気になるポイントの一つが「衿(襟)の伸びやすさ」ではないでしょうか。特に、洗濯後に衿が伸びてしまい、型崩れが起こると、お客様の満足度に大きな影響を与える可能性があります。

この記事では、Tシャツの衿の生地選びにおいて、洗濯後の伸びに強いものと、避けるべきものについて詳しく解説します。これからアパレルブランドを立ち上げる方や、商品品質にこだわりたい方のために、最適な生地の選び方をご紹介します。

洗濯後に衿が伸びてしまう原因

Tシャツの衿が洗濯後に伸びてしまうのは、購入者にとっても製造者にとっても避けたい問題です。これを防ぐためには、なぜ伸びるのかを理解することが重要です。主な原因として、以下の要素が挙げられます。

生地の種類

生地の素材によって、衿の伸びやすさは大きく異なります。例えば、コットン100%の素材は肌触りが良いですが、洗濯や着脱の際に引っ張られることで、特に衿部分が伸びやすい傾向にあります。また、スパンデックスや他の合成繊維が少ない場合も、伸縮性に欠けるため、洗濯によって生地が伸び切ってしまうことがあります。逆に、ポリエステルやナイロンが含まれる混紡素材は伸びにくい特性がありますが、その代わりに風合いや快適さが犠牲になることもあります。

編み方の違い

衿の伸びには、素材だけでなく編み方も大きく影響します。たとえば、フライス編みのような目が詰まっていない編み方だと、洗濯の際に生地が緩んで衿が伸びやすくなります。目が詰まった生地の方が、形を保ちやすく、洗濯による伸びを防ぐことができます。

洗濯・乾燥方法

洗濯機の使用方法も衿の伸びに影響します。強い回転や高温の乾燥は、生地に過剰な負担をかけ、特に衿のような薄い部分が伸びやすくなります。洗濯ネットを使用したり、手洗いや自然乾燥を行うことで、伸びを防ぐことができます。

重力や引っ張り

洗濯後にTシャツをハンガーにかけて乾燥させると、重力で生地が引き伸ばされることがあります。特に、濡れた状態では繊維が柔らかくなっているため、衿部分が重さで伸びてしまうことがあります。また、着脱時に無理に引っ張ることも衿の伸びにつながります。丁寧に扱うことが、長持ちの秘訣です。

素材ごとの衿の耐久性比較

衿が洗濯後に伸びてしまうリスクを減らすためには、適切な素材を選ぶことが重要です。ここでは、主要な素材別に衿の耐久性と洗濯後の伸びに関する特性を比較してみましょう。

コットン(綿)

コットンは柔らかく、肌触りが良いため、Tシャツの素材として広く使われています。しかし、コットン100%の場合、伸縮性に乏しいため、繰り返しの洗濯や着脱によって衿が伸びやすいという欠点があります。ただし、コットンの編み方によっては伸びにくくすることが可能です。たとえば、目が詰まった編み方を採用すれば、衿の形をより長く保てます。

ポリエステル

ポリエステルは伸びにくく、耐久性に優れているため、Tシャツの衿部分に適した素材です。また、洗濯や乾燥機に強いことから、長期間にわたって形状を保つことが期待できます。しかし、ポリエステルはコットンに比べて肌触りが劣るため、快適さを求めるユーザーには注意が必要です。

スパンデックス(ポリウレタン)

スパンデックスは非常に高い伸縮性を持ち、他の素材と混紡されることが多いです。この素材が入ることで、生地の柔軟性が向上し、伸びにくい特性を持たせることができます。ただし、スパンデックスが多すぎると、逆に形崩れが起こりやすくなるため、バランスの取れた配合が重要です。

ウール

ウールは柔らかく、暖かさを保つ素材ですが、Tシャツの衿としてはあまり使われません。ウールは繊細で、洗濯や乾燥に気を使わなければいけないため、伸びやすいこともあります。

これらの素材の特性を理解しておくことで、製品開発の際にどの素材を選ぶべきかを正しく判断することができ、洗濯後の衿の伸びや型崩れを防ぐ一助となるでしょう。

フライス編みのTシャツの衿(襟)の場合

フライス編みのTシャツの衿は、その特徴である伸縮性と耐久性が重要なポイントとなります。フライス編みとは、ゴム編みの一種で、横方向に伸縮しやすい構造を持つため、Tシャツの衿に適していると言われています。編み目が詰まっているフライス編みは、洗濯後の型崩れを防ぎ、長期間美しい形を保つための最適な選択肢です。

特に衿部分は、Tシャツの中で最も使用頻度が高く、洗濯や着脱による摩耗を受けやすいため、耐久性の高い生地選びが大切です。フライス編みを採用することで、伸縮性に優れたフィット感を提供しながらも、長持ちするTシャツの作成が可能です。

目が詰まっていて、柔らかい風合いの衿なら大丈夫

Tシャツの衿の生地には、高い部分と低い部分があり、この間隔が詰まっているものを選ぶのがポイントです。編み目がしっかりと詰まっている衿は、洗濯後に伸びにくく、長期間の使用にも耐える特性を持っています。手で触った時に柔らかい風合いの衿は、洗濯を繰り返しても型崩れしにくく、伸びることで着脱もスムーズです。

柔らかい風合いの生地は、首周りへの負担も軽減し、快適な着心地を提供します。特に、肌に優しい素材を使うことで、顧客の満足度も向上します。適度な柔らかさを持つ衿は、伸縮性と耐久性のバランスが取れており、長期にわたって美しいシルエットを保つことができます。

目が多少開いていても柔らかい衿ならまだ良いと思います

最初の画像よりも編み目が少し開いているのが分かりますか?編み目が多少開いている場合でも、生地が柔らかいものであれば、伸縮性があるため、Tシャツの衿としてはまだ良い選択肢です。理想的なのは、編み目がしっかり詰まっているものですが、多少の隙間があっても、柔らかさがあれば伸びやすく、洗濯後の型崩れも少なく済みます。

編み目が少し開いていると、デザインによっては軽やかな印象を与えたり、カジュアルな雰囲気を演出することができます。ただし、衿の生地が柔らかくない場合は注意が必要です。柔らかさがないと伸縮性が失われやすく、結果として着用時や洗濯後に生地が元に戻らないこともあります。柔らかさと編み目のバランスを見極めることが大切です。

目が開いて、しかも硬い風合いのものは避ける方が無難です

一方、編み目が大きく開いていて、しかも生地が硬い衿は避けた方が無難です。このタイプの衿は、伸縮性が乏しく、手で触った時の感触が硬い場合が多いため、着用時や洗濯後に生地が伸び切ってしまう可能性があります。編み目が緩く、柔軟性が少ないため、動きやすく型崩れも起こりやすいです。

また、衿が硬い場合、着脱時に不快感を与える可能性があり、結果的にTシャツ全体の品質感に影響を与えてしまうこともあります。このような生地の選定は、長期的な顧客満足度に関わる重要なポイントですので、注意が必要です。

衿の生地選びがブランドの評価に与える影響

ブランドの評価において、Tシャツの衿の生地選びは大きな影響を与えます。衿はTシャツの中でも最も負担がかかりやすい部分であり、着用や洗濯を繰り返す中で伸びやすくなることが多いです。この部分の品質が低いと、せっかくデザインや縫製が優れていても、着心地や見た目が損なわれ、ブランド全体の信頼性が低下してしまいます。以下、衿の生地選びがブランド評価にどのように影響するかを詳しく解説します。

衿の伸びはブランドの信頼に直結

Tシャツを購入したお客様は、何度も着用し、洗濯を繰り返します。その際に衿が伸びてしまうと、すぐにだらしなく見えてしまい、着用頻度が低くなることもあります。特に、高級感やプレミアム感を打ち出しているブランドの場合、少しの品質の低下が大きなマイナス評価につながります。伸びにくく耐久性のある生地を選ぶことで、顧客満足度が高まり、ブランドのリピート率や口コミによる評価も向上します。

 

品質への投資がブランド価値を高める

衿に使用する生地は、製品全体の品質を象徴する重要なパーツです。たとえば、コットンとスパンデックスの混紡や、ポリエステルとコットンの混紡など、伸縮性と耐久性を兼ね備えた素材を選ぶことで、Tシャツの寿命が長くなります。顧客は、そのTシャツが長く使用できることを実感すると、ブランドへの信頼感が増し、結果的にブランドの評価を高める要因になります。初期コストが少し高くなるとしても、品質に投資することで長期的なリターンが期待できるのです。

ブランドのコンセプトに合った生地選び

ブランドごとに異なるコンセプトやターゲット層に合わせた生地の選び方が必要です。例えば、エコやサステナビリティを重視するブランドであれば、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルといった環境に配慮した素材を選ぶことがおすすめです。このような素材選びは、ブランドのストーリーとリンクし、顧客との共感を生むことで、ブランドのファンを育てることにつながります。

細部へのこだわりがブランドの差別化につながる

衿の生地選びは、他のブランドとの差別化要因にもなります。たとえば、他社製品よりも耐久性が高く、形状が維持されやすい生地を使用すれば、顧客にとって「このブランドのTシャツは衿が伸びにくい」という明確な評価ポイントになります。特に高価格帯の商品であれば、細部へのこだわりが顧客の購買動機に直結するため、素材選定の段階での慎重な判断が求められます。

 

ブランドロイヤリティの向上

衿の品質が良ければ、顧客は繰り返しそのブランドの商品を購入する可能性が高くなります。これは単なる満足度の向上だけでなく、顧客がそのブランドを他人に推薦する大きな要因にもなります。Tシャツの衿の耐久性が高いことが、長く使える服を求める顧客にとって大きな魅力となり、その結果、ブランドのロイヤリティを高めることができます。

このように、Tシャツの衿の生地選びは単なる素材の選定にとどまらず、ブランドの信頼性、顧客満足度、そしてブランドの価値そのものに大きく影響を与えます。特に服のブランド立ち上げを目指す方にとっては、細部にこだわった生地選びがブランドの成功を左右する重要な要素となるでしょう。

まとめ

Tシャツの衿は、デザインの見た目だけでなく、着用感や耐久性にも大きな影響を与えます。特に洗濯後に伸びてしまうと、商品の価値が損なわれる可能性が高いです。フライス編みのように、目が詰まっていて柔らかい生地は、伸縮性があり長持ちしますが、逆に編み目が開いていて硬い生地は型崩れのリスクが高くなります。

お客様に満足していただける商品を提供するためにも、しっかりとした衿の生地選びを行いましょう。品質の高いTシャツは、リピーター獲得の鍵になります。

無地Tシャツの衿が傾いているものは特におすすめしません

良いTシャツの例             悪いTシャツの例

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店頭やHPでよく見かける悪い無地Tシャの例。  生地の品質にはこだわっているのかもしれませんが、作ることにはこだわっていない。 丁度、最高級食材を使って、ド素人がつくる料理のように私は感じます。 私は、設計品質、材料品質、製造品質のバランスがとれてはじめて良い商品と言えると思うのです。

大切なことは設計通りに作られているのかどうか

伸び止めテープや二本針で補強してあるとか、書かれていますが・・・・・・・・。 品質には、設計品質と製造品質があります。 設計段階で衿の大きさと衿ぐりの大きさのバランスや、どのようにして強度を出すかなどを決めます(設計品質) 設計者(デザイナーやパタンナー)の設計通りの商品を製造段階で実現するのが製造品質です。 設計はだいたい一流のデザイナーやパタンナーを使うし、Tシャツやトレーナーのパターンはだいたい決まっているので、設計品質の差はそんなに大きくはありません。しかし製造品質に差があるのでかなり悪いものも出まわっています。 製造品質が悪いと言うことは、設計と違うものが出来あがると言うことです。それでは、どれだけ一流のデザイナーやパタンナーを使っても設計者の意図とは全然違う商品が売られていると言うことなのです。 自宅を建てるときでも、設計を重視するのは当たり前ですが、だからと言って大工さんはいいかげんな人でも良いと言う人はいないでしょう。 設計通りに出来ていない家には住めません。

悪い衿の具体例です(左右対称になっていない衿の無地Tシャツはおすすめできません)


どうですか?パッと見てどこがダメなのかわかりますか?
こんな商品は店頭でも良くみかけます。

 

この衿は自社でわざと変に作成してみたものです。

衿の中心ってこの線のあたりじゃないですか?

 

この線の右側と左側では衿の形状が全然違います。良く見れば変だと思いません?このような左右対称になっていない無地Tシャツはおすすめしません。

Tシャツを見分ける方法


もう一つの具体例

この衿はどうでしょうか?

これはいろんなところがおかしいのですが・・・・・。

ピンクで隠した部分がなければ衿はきれいな円になっています。

衿の中心は、この赤い線のあたりだと思います。だとすると、ネームの位置がズレていますし、左右の衿のカーブがかなり違うのがお分かりになりますか?

こうすれば、分かりやすいですか?店頭で、調べる時には、通常、前、後ろに別れるようにアイロンがけしてあるのを、肩の線を合わせて、左右に分かれるようにテーブルなどに置いて見ると、左右対称になっていない商品を見つけることができます。

家の場合は設計事務所と木などの材料と大工さんの腕ですよね。
縫製の場合はパタンナー(設計)と生地(材料)と縫製(作る技術)です。最近では設計段階から悪いものは滅多に見かけなくなりました。生地の良し悪しは手でさわった感じなどてだいたいおわかりかと思います。縫製の良し悪しを判断できればそんなに悪いものを買わされることはなくなりますね。

Tシャツやトレーナーを作る工程としては肩合わせ→衿付け→袖付け→脇合わせ、あと袖口と裾を縫えば出来あがりです。工程としての難易度の高い工程は衿付けとあとは袖口伏せや裾引きでしょうか。
商品の顔は衿なのでその工場で一番技術のある人が衿を付けます(通常は)。衿は商品の一番重要な部分なので、最も綺麗に縫製出来る人を配置するのです。衿付けに優秀な人材を配置していないとすれば、工場の管理者が無能なので、もっと悪いですが・・・。その衿がこんな状態だと他の部分を作っている人の技術はどうなんだろうと他人事ながら心配になります。実際ブランドネームも変なところに付いていますね。衿がきれいな形になっていないトレーナーやTシャツは絶対に良い商品ではありませのでおすすめ出来ません。衿が左右対称に縫えない工場は他の工程の技術も推して知るべしです。

ほとんどのショップさんがグラフィックに重点をおいていて、Tシャツそのものにはあまり意識が向いていないショップさんも見受けられます。

また、無地Tシャツを販売されているショップさんなどでも、商品に対するこだわりはあると思います。

素材の質感であったり、シルエットだったり。それが着心地につながったりするのだと思いますが、何度も書いている、設計品質と材料品質と製造品質が高い次元で融合しないと、素材の良さを最大限に引き出した商品にはならないと言うことを理解していただきたいと思います。プリントなどがあるグラフィックTシャツの場合は、周囲の人たちの目は最初にグラフィックに行きますので衿の傾きなどはあまり目立ちませんが、無地Tシャツの場合は最初に衿元に目が行きます。無地Tシャツの場合は特に衿が左右対称ではないものはおすすめしません。

高級食材を使った素人料理人のお店へお金を払ってまで食べに行きますか?

縫い目で分かる服の品質の見分け方

服を買うときには、脇や袖のミシンの縫い目にも気をつけましょう。縫い目で見分ける服の品質をお伝えします。
値段が高いから良いTシャツで安いから悪いTシャツだとは言えません。
安くてもしっかりした作りになっているTシャツもありますので、Tシャツを見る目を養いましょう。
お見せする写真は、わかりやすいように糸の色を一本一本変えています。

このミシンの縫い目はオーバーロックミシンで、縫い目の締り具合のことを糸調子と言います。

Tシャツの良い縫い目

普通はこのような縫い目になっています。(脇や袖の部分)
二本針オーバーロックというミシンで縫います

同じ縫い目を裏から見た状態です。
縫い目の中ほどと下側に赤と緑の糸が点々と見えています。針糸が締まった状態です。

表側になる部分から見た状態です。
普通ですね。縫い合わせた部分が開きません。

悪い縫い目

表側から見た状態です。ちょっとわかりづらいですが、緑の糸が浮き上がっているのがわかりますか?

良い縫い目に比べると、赤と緑の糸がループになっていますね。針糸が緩んでいる状態です。

赤と緑の点々は針糸なので、点々が大きく見えるのは、糸が緩いからなのです。表側から見ると糸が見えるほど緩い状態で、縫い合わせた部分が締まっていません。

悪い縫い目

先ほどご説明した二本針オーバーロックではなく、一本針オーバーロックの縫い目です。先に説明した縫い目のものより針糸が一本少ないものです。この縫い目で脇を縫ってあるTシャツは、品質よりもコストを優先した商品です。僅か糸1本分のコストさえも抑えたい程コストが厳しい商品と考えるのが適当です。

最悪な縫い目

上の一本針と同じ縫い目ですが、縫い目が上のものよりも粗いものです。中国製のTシャツなどでたまに見かけます。
このような縫い目の商品は絶対に避けたほうが良いですよ。

Tシャツの脇などを一本針で縫うのは、そもそも糸のコストさえも抑えたいからで、その上、縫い目が粗いと言う事は、少しでも早く縫いたいからなのです。ミシンの最高回転数がミシンによって決まっていますので、少しでも早く縫って、一日にたくさん作りたいとなると、縫い目を粗くすると、生地を送って行くスピードが上がりますので、早く縫えるわけです。
ここまでしてコストを下げたいTシャツが良い商品のわけがありません。是非ご注意ください。

また、二本針で縫ってあっても、針糸が締まっていない服は、縫製工場の品質管理が出来ていないと言う事です。糸調子の調整は、工場の品質管理の基本です。糸調子は作業を始める前の朝一番に確認しますし、糸を替えた時にも確認するものです。この基本が出来ていない工場で作る商品は絶対に良い品質の服ではありません。糸調子を見ることは、服を作っている縫製工場の品質管理の基本を見分けるポイントになります。

ブランド信奉もあると思いますが、同一ブランドでも同一工場で縫製しているわけではありません。ブランドとして、協力工場など特定の工場を使っている場合もありますが、商社を通して色んな縫製工場を使っているブランドもあります。商社を通して縫製工場に発注すると、どんな工場で生産するか分かりません。取引に当たっては、工場の現場も見に行きますが、見に行った工場の生産ラインでは無く、その工場からさらに下請けの縫製工場に流される場合もあります。その下請けの縫製工場が内職をたくさん使って服を作っているかも知れませんので、品質は全く予想出来なくなります。ブランドとしてしっかり品質管理がされていれば、倉庫に入荷した段階で、抜き取り検査を行って、糸調子不良があれば返品して修理されますが、ブランドとしての品質管理がしっかりと出来ていないと、糸調子不良の商品があっても抜き取り検査で見つからず、そのまま店頭に出てしまいいます。ブランドによって品質管理の基準も違うでしょうし、縫製工場から入荷した商品の抜き取り基準も違うので、品質管理基準の低いブランドは不良品が店頭に並ぶ可能性が高いことになります。ブランドを盲目的に信用することなく、自分自身の目で良い服を見分けるようにしてください。

服は、他の工業製品のように機械や金型によって品質を作り込む商品ではありません。品質は人の手によって作り込まれます、ですので、縫製工場で作業する人の技術に依存するところがとても多いのです。「衿が傾いている無地Tシャツはおすすめできません」や「衿で見分ける服の品質の見分け方」でも公開しているように、服はプレスして上から型抜きするような商品では無く、右から左、又は左から右へと縫います。そして、ミシンは下が送り歯で生地を送り、上は押さえで、生地を手前に押そうとするので、普通に縫うとねじれてしまいます。ですから、左右対称に作るのはとても技術が必要です。服の品質を見分けるには、縫い目と一緒に衿が左右対称になっているかどうかを確認しましょう。

コイシドレス

毎シーズン新しいデザイン、仕様と向き合い品質、生産性、コストを追求し 日々、精進してまいります。 特徴 ジャケットをメインとし、ワンピース、コート、スカート婦人服全般を製造致します。
◆ジャンル・ターゲット
 レディース(ヤング、ミセス、シニア)
◆縫製可能な生地
 布帛、厚手生地(メルトン等)
◆可能な業務工程
 サンプル、裁断、縫製
設備 本縫いミシン 上下送りミシン ジグザグミシン
袖付けミシン 奥まつりミシン
ハトメ穴かがり カン止め シャツ穴 釦付け 芯はり機 アイロン 延反機 オーバーロック ルイスミシン メローロック インターロック ポケットシーマ― 検針機 バンドナイフ CAD

  有限会社コイシドレス
〒926-0001 石川県七尾市鵜浦町82部10番地2

山城屋

下着製造メーカーの老舗

柔軟な発想と優れた技術と確かな品質

株式会社山城屋では、時代のニーズを的確に見据えて、お客様が求めているものはなにか、お客様に満足していただける製品を提供していくことを常に考えながら、今を生きる女性たちのニーズにお応えして、女性の生活をアクティブに、また安心・安全を提供していくこと・・・。
革新的な技術で世の中を動かす企業を目指します。

アパレルが取り組まなければいけないSDGs

大量生産大量廃棄と言う現実

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月の国連サミットで採択された、17のゴールと169のターゲットからなる国際目標です。ビジネスの果たす責任や、地球環境の保全に関して取り組む目標です。今後、企業としてSDGsの取り組みに消極的だとユーザーから見なされると、批判にさらされたり不買運動に発展する可能性もあるので、避けて通れない課題になって来ていて、各国が目標を達成する必要がある事項です。

しかし、日本のアパレル業界はこのSDGsの流れに全く逆行するような大量廃棄を行っています。このまま大量廃棄を少なくすることに取り組んで行かない状況が続くと、持続可能な生産のパターンとは言えず、地球環境にもダメージを与え、さらに発展途上国の縫製工場の労働環境なども問題になる可能性が高いと思います。

食品ロスはマスコミでも多く取り上げられているので、一般の人も関心を持っていますが、アパレルの大量廃棄はまだ、一般には知られていないので、注目度は低いですが、今後、大問題に発展する可能性もあります。

アパレル製品(衣料品)の国内の年間供給数量は約29億点。それに対し、消費数量は約14億点と推定されています。その差は約15億点。これが、消費者の手に渡らず売れ残ってしまった余剰在庫の数です。

引用元:アパレル廃棄(衣服ロス)の問題 – アパレル業界に求められるサステナビリティへの取り組み

この15億点の余剰在庫のほとんどは、再流通すること無く、焼却処分されます。1年間で焼却される量は100万トンとも言われています。

何故、再流通しないかと言うと、本来の価格から大幅に値引きした商品が流通してしまうと、ブランド価値を棄損してしまい、ユーザーがブランドから離れてしまうからです。

もう一つは、売れ残った在庫を倉庫で保管する保管料が高くつくので、廃棄してしまうのです。

フードロスは土に帰るがアパレルは石油製品

フードロスは包装以外は廃棄しても土に帰るので、環境を破壊しませんが、アパレルのほとんどは石油製品で、天然素材の商品も縫製で使う糸は石油製品ですし、付属品もほとんどが石油製品なので、廃棄すれば確実に環境汚染になります。生地は綿でもファスナーなどの付属品などの素材は石油製品なので、土には帰りません。

使い古したり、購入したけど着なかった服は、オークションサイトなどでリサイクルされますが、売れ残った商品はほとんどリサイクルされずに廃棄されます。

古着としてアフリカなどへ輸出するなどして、日本国内では、売れ残りや古着が大量に溢れている状況は目にしませんが、アフリカの国の中には、繊維製品の輸入を禁止している国も出てきています。

機会損出を恐れて大量在庫を持つ

アパレルとしては、在庫が枯渇して、店頭に置く商品が無くなると、その棚に他のブランドの商品を置かれてしまうので、在庫が不足することを最も恐れます。もしも、自社の棚に他のブランドを置かれて、そのブランドの方が販売実績が良ければ、自社の売り場は必然的に狭められてしまいます。

また、ファッションは流行などにとても敏感なので、売れる時に十分な在庫を確保しておきたいと言う心理も働くのでしょう。

このことを恐れるあまり、余分に余分に発注すると言う流れになってしまうのです。余分に発注した結果が過剰在庫で大量の売れ残りが発生して、焼却処分になる訳です。

在庫

リードタイムの長さが過剰在庫の元凶

トヨタのカンバン方式のように売れた商品だけを生産する仕組みなら、過剰在庫は発生しませんが、繊維業界は、カンバン方式のようなプル型の生産方式ではなく、適当な需要予測で、在庫を積み増すプッシュ型の生産方式なので、需要予測を間違えると大量の在庫が発生する仕組みになっています。

さらに問題を大きくしているのが、原糸メーカーから縫製工場まで生産拠点が海外に移転してしまっていて、船での輸送も含めてとてもリードタイムが長いために、来シーズンの企画から納品までのリードタイムがとても長いので、直近の流行に対応して生産を調整するなどの木目細かい対応が出来ないことです。

生産した商品の半分以上を廃棄処分してしまう業界の体質は異常と言って良く、SDGsの流れに全く逆行する仕組みを何の疑いも無く続けている体質を改めなければいけません。

生産した商品の半分以上を廃棄すると言うことは、廃棄を無くせれば製造原価は2倍になっても良いと言うこと

生産した商品の半分以上を廃棄していると言うことは、売れる商品だけを作れば、製造原価が2倍になっても現状と同じ利益を確保出来ると言うことです。

廃棄しなければいけなくなるのは、服にしてしまうからで、原反の状態で、生地に鋏を入れなければ、倉庫に残ってていても、次の企画に生かすことが出来ます。

海外への発注を半減させて、追加フォローを国内の縫製工場を使う

生産した商品の半分以上を廃棄している現状からすると、海外の生産拠点に発注している生産を半減させて、店頭の在庫をaiなどで管理して、追加発注はリードタイムの短い国内の縫製工場を活用して、廃棄を極力少なくする努力が必要では無いかと思います。

海外の生産拠点への発注単価は発注ロットが減ることで多少高くなると思いますが、廃棄ロスを考えれば何も問題は無いはずです。

国内の縫製工場には、社員に十分な待遇を保証できて、長期的な継続が可能な工賃を提示して、短納期の対応をしてもらうことで、大量廃棄は回避できると思います。瀕死の状態の国内の縫製工場をこのまま放置しておけば、海外の縫製工場に大量発注した商品を廃棄する流れを変えることが出来ず、世界の環境保護団体などから批判される業界になり、廃棄の多い企業に対して不買運動が起こる可能性もあります。

このような最悪の事態を回避するためにも、海外の大量生産と国内のフォロー生産を組み合わせた、廃棄を大幅に削減する仕組みの構築が急務だと思います。

一昔前までは、大量生産、大量消費と言われて、ヒットしたブランドを誰もが着ている時代もありましたが、今は、消費者のニーズが多様化していて、大量消費はされなくなっているので、現在の生産体制では、消費者のニーズに合わなくなっているとも言えます。

縫製工場がEC化する必要性

急激に進むEC化、縫製工場も例外では無い

デバイス別の保有率は2019年の時点でスマートフォンが83.4%。現在はさらに保有率が上がっているものと思われます。

スマートフォンの保有率が急激に増加している一方、企業のEC化率は13.87%ととても低い状況です。

スマートフォンの保有者が日々購買する商品を全て、インターネット経由で購入すれば、企業のEC化率は83.4%になります。スマートフォンのユーザーが購入する商品全てをインターネット経由で購入するとは考えられませんが、今後、インターネットで購入出来る商品が拡大したり、新たなサービスが提供されたり、インターネットの利便性を感じたユーザーのネット利用がさらに加速する可能性があり、EC化率は50%程度まで上昇する可能性があります。

13.878%から50%への伸びしろが企業にとっては宝の山と考えられます。

新型コロナで接触を伴うビジネスが大きく業績を落とし、アフターコロナでも非接触が大きなテーマとなるのは確実です。

百貨店などの既存ビジネスの凋落

百貨店の売上高は長期低落傾向で、そこへ新型コロナの影響で大きなダメージを受けました。

ECが大きく伸びている一方で、古いビジネスモデルである百貨店の経営がどんどん悪化して、今後回復することは見込めず、ユーザーが商品を購入する場はインターネットに大きく移りつつあります。

インターネットの普及により、誰でも直接ユーザーに商品を売れるようになりました。メルカリやヤフオクなどの個人売買が当たり前になり、衣料品店のバーゲンの売れ残りもメルカリで売られるようにもなっています。

インターネット広告がテレビの広告を上回った

キー局で15秒CMを1回流すのに、40万~80万。テレビCMの制作料は「有名タレントや俳優を起用して海外でロケを行い、特殊CGを多用する」といった数億円規模。テレビの広告は大企業じゃないと出せないが、インターネット広告は誰でも出せる。インターネット広告はキーワードによって単価は違いますが、1クリックは約150円。

大手アパレルはEC化が遅れ、既存店売上げが落ちて軒並み赤字決算

大手アパレルはかなり前からEC化を進めています。ECの伸び率はとても大きいのですが、それを上回る既存店の落ち込みで、軒並み赤字決算になっています。

大手アパレルが赤字決算を続けていれば、確実に売り切れるような発注のコントロールやより原価を抑えるために、より安く生産できる海外拠点へと移って行きます。

そうなると、国内縫製工場の受注はさらに減少して行くと考えられます。

作れることは縫製工場の大きな強み

縫製工場は商品を作れることが大きな強みです。縫製工場で生産される商品は、そのまま店頭に並ぶ商品なので、商品を作れることはとても大きな強みです。

自社で商品企画を行って、ファクトリーブランドとしてインターネットで販売しましょう。

インターネットで作り手にしか出せない情報もホームページに記載して、商品を販売しましょう。

他社が掲載していない情報をホームページに記載すると、そのキーワードを検索しているユーザーがホームページを訪れてくれるようになります。

ホームページのtitleやh1タグに検索エンジンにヒットさせたいキーワードを記載して、詳しい情報を掲載することによって、狙っているキーワードでヒットするホームページになります。

縫製工場はEC化に乗り遅れると、座して死を待つしか無くなります。積極的にEC化して、工場の稼働を自社商品である程度賄えるようにすることとは急務です。